第12章 スマホ119から会社組織へ 〜仲間と共に成長する挑戦〜

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創業メンバーと「3人の出発点」

イオン泡瀬の一角に小さな修理スペースを借り、「スマホ119」という名前を掲げたのは、今振り返れば大きな分岐点でした。
創業時のメンバーはわずか3名。アキラ、ナナ、そして私。

アキラは冷静沈着で、どんなトラブルが起きても動じない安定感を持っていました。ナナは接客の才能が抜群で、彼女の笑顔に安心して修理を任せるお客様も少なくありませんでした。私はといえば、修理技術を担当しながら全体をまとめる役割。3人で分担しながら、日々の業務を必死にこなしていきました。

そこに加わったのが、まだ高校生だった息子のレオです。繁忙期には「今日どうしても人手が足りない」という時があり、レオには学校から早退してアルバイトとして店に立ってもらいました。制服姿のまま接客をしたり、簡単な修理補助を担当したり。お客様から「若いのに偉いね」と声をかけられる姿を見ると、父として誇らしさと同時に、家族もまたこの挑戦の一部になっているのだと実感しました。

「スマホ119」は、たった3人と1人の高校生からのスタートでしたが、そこには確かにチームとしての一体感がありました。


マニュアル作りと「標準化」への挑戦

修理業務は、一見すると機械的な作業に見えますが、実際は端末ごとに症状が異なり、毎回のように判断が求められます。創業初期は、私が一人で対応するケースも多く、仲間が独り立ちするには時間がかかりました。

そこで私は「標準化」に挑みました。
修理の流れを細かく分解し、写真や図を多用してマニュアルを作成。
「バッテリー交換は何分以内」「水没修理の手順はこの順序」など、誰がやっても同じ品質を提供できるよう工夫しました。

接客も同様でした。お客様にまず安心してもらうことを最優先に、「笑顔で迎える」「症状を聞くときは必ずメモを取る」「見積もりは明朗に提示する」――これらを徹底しました。ナナの柔らかい接客を基準に、全員が「スマホ119らしい応対」をできるように訓練しました。

こうして少しずつ、個人のスキルに依存せず「チームとしての力」で店舗を回せるようになっていったのです。


お客様の信頼とリピーターの増加

やがて口コミで評判が広まりました。
「ここなら安心して任せられる」
「スマホ119は説明がわかりやすい」

ある主婦の方は、初めての来店で「息子がスマホを壊して泣いていて…」と駆け込んできました。修理後に「ありがとう、助かりました」と涙ぐまれたこともありました。その方は後日、友人を連れて再来店し、さらに別の知人も紹介してくれました。

一度修理に来たお客様が「また何かあったらここ」とリピーターになり、やがてそれが支えとなって店舗の経営は安定していきました。


複数店舗への挑戦とリーダー育成

泡瀬での成功を機に、私は次なる挑戦を決断しました。
「2店舗目を出そう」。

しかし新しい店舗を作るということは、単に場所を増やすことではありません。人材を育て、現場を任せ、在庫や売上を管理し、組織として回る仕組みを構築する必要がありました。

ここで頼りになったのが、創業メンバーのアキラとナナ、そしてレオでした。
アキラは現場のリーダーとして新人スタッフを指導し、ナナは接客教育を担当。レオもアルバイトながら修理技術を身につけ、若いスタッフの良き相談役になっていました。

「仲間を信じて任せる」――その難しさと重要性を、私はこの時期に学びました。


苦境と失敗からの学び

もちろん順風満帆ではありませんでした。
部品の不良でお客様に迷惑をかけてしまい、深夜まで頭を下げ続けたこともあります。
また、スタッフ同士の人間関係が原因で退職者が出て、運営が混乱したこともありました。

ある日、修理後に端末が起動せず、怒鳴り込んできたお客様に対し、私はその場で土下座をしました。
悔しさ、情けなさ、眠れぬ夜…。それでも「信頼を守ることこそ最優先」という信念を失わなかったことが、逆にお客様の信頼を強くしたのです。

トラブルに逃げず、正面から向き合う。その姿勢こそが、スマホ119の文化となっていきました。


仲間と描いた未来

閉店後、スタッフ全員でラーメン屋に集まるのが恒例でした。
「いつか沖縄全域に広げたい」
「東京にも店を出したい」

冗談半分で口にした夢を、真剣に議論するようになりました。夜遅くまで語り合いながらも、誰もその夢を笑うことはありませんでした。

その頃の私は、まだ「ネクストレボリューション」という名前を持っていませんでした。
しかし心の奥底では、「革命を起こしたい」「世の中を変えたい」という想いが芽生え始めていたのです。


まとめ

こうしてスマホ119は、アキラ、ナナ、そして私、さらにアルバイトのレオという小さなチームから始まり、徐々に「組織」としての形を整えていきました。

修理の標準化、接客の理念、仲間への信頼、そしてトラブルに逃げず向き合う姿勢。
これらが積み重なり、スマホ119はやがて「会社」としての道を歩み出します。

そして――次の章で語られる「ネクストレボリューション誕生」へと、物語はつながっていくのです。

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