家庭教師から次の挑戦へ
家庭教師派遣会社を全国展開し、沖縄から47都道府県を目指して駆け抜けた20代。
その勢いの中で、私は一つの違和感を抱いていました。
「教育は社会に必要な仕事だが、インフラや時代の変化を掴んでいかなければ取り残される」
2000年代初頭、日本はインターネットが急速に広がり始めた時代でした。
ADSLが普及し始め、街中でもインターネットという言葉が飛び交う。
その波を沖縄に届けたい――そう思ったのです。
Yahoo!BBの代理店契約と衝撃のキャンペーン
私はまず、Yahoo!BB!(ソフトバンクBB)の代理店契約を結びました。
当時の沖縄はまだインターネット回線が遅く、家庭への普及率も低い。
「これはビジネスになる」と直感しました。
さらに、差別化のために考えたのが 「中古ノートパソコン980円キャンペーン」 です。
インターネット回線を契約してくれたお客様に、中古ノートPCを980円で提供するという仕組み。
当時としては前代未聞の戦略でした。
新聞やテレビでも取り上げられ、沖縄だけでなく全国から問い合わせが殺到。
「安いパソコンとネット回線がセットで手に入る」というシンプルな訴求が、多くの家庭の心を掴んだのです。
この施策は全国でも注目を浴び、私は「時代の波に乗る」ことの大切さを肌で学びました。
ヤフオクでの挑戦 ― ミリタリーグッズ販売
その頃、私はもう一つの新しい可能性を模索していました。
それは 米軍基地の払い下げ品ビジネス です。
沖縄には米軍基地があり、そこから放出されるミリタリーグッズは、全国的にも珍しいアイテムでした。
迷彩服、無線機、パイロット装備、軍用バックパック……。
私はそれらを集めて ヤフオクで販売 することを始めました。
すると、驚くほどの勢いで売れていきました。
東京や大阪のミリタリーマニアからの注文だけでなく、時には海外からも問い合わせが入る。
片言の英語を駆使しながら取引を重ね、商品が世界へ飛び立っていくのを見て、胸が高鳴りました。
「沖縄という地域の特性をビジネスに活かせる」
そう実感した瞬間でした。
ECサイト黎明期 ― 自作ホームページでの挑戦
やがて私は「もっと大きな市場を狙えるのではないか」と考えました。
ヤフオクは確かに便利でしたが、プラットフォームに依存するリスクがある。
そこで、本を読みながら 自力でホームページを制作 しました。
いまでいうECサイトの走りで、ちょうど楽天市場が誕生した時期と重なります。
周囲からは「そんなサイトで物が売れるわけないよ」と笑われました。
「Tシャツなんてネットじゃ売れない」とまで言われました。
しかし私は、「ニッチを狙えば勝てる」と信じていました。
米軍払い下げ品や沖縄独自の雑貨、アメリカ文化が混じった珍しいアイテム……。
これらを求める人は全国に、いや世界にいる。
その確信を胸に、ネットショップを立ち上げたのです。
多角化への道 ― 映画小道具レンタル
販売を続ける中で、意外な依頼が舞い込みました。
「映画で使う小道具を貸してほしい」というリクエストです。
無線機やパイロット装備、迷彩服などが、映画やドラマの小道具として求められたのです。
この需要に応える形で 映画小道具レンタル事業 を始めました。
ミリタリーグッズがスクリーンの中で使われるのを見たとき、
自分のビジネスが文化の一部に入り込んだ気がして、誇らしい気持ちになりました。
レンタルサーバー事業の始まり
さらに私は、自宅にサーバーを立て、試験的にホームページを動かしていました。
その技術を応用して レンタルサーバー事業 を開始。
「自分のECサイトを作りたい」という顧客に、ミリタリーグッズの仕入れと同時にサーバーも提供し、
ネットショップ開業セット として販売しました。
ネットとリアルを組み合わせたこのビジネスは、徐々に軌道に乗り、私の事業の大きな柱の一つとなっていきました。
老舗店の閉店と大量仕入れ
やがて米軍払い下げ店の店主たちが高齢化し、次々と店を閉じ始めました。
そのとき、私はタイミングよくその在庫を一括で引き取ることができました。
なかには全国的に有名な老舗もあり、閉店は惜しまれましたが、
そこで得た大量の商品は私の事業をさらに加速させました。
10年以上続く安定した収益源となり、次の挑戦へ進むための土台を築いたのです。
インターネットが広げた新しい世界
教育事業からインターネット事業へ――。
私の挑戦は大きく舵を切りました。
- Yahoo!BBとの代理店契約と「ノートPC980円キャンペーン」
- 米軍払い下げ品を活かしたヤフオク販売
- 自作ECサイトの立ち上げ
- 映画小道具レンタルとレンタルサーバー事業
どれも試行錯誤の連続でしたが、「時代の波に乗ること」と「沖縄の特性を活かすこと」が、私に新しい扉を開いてくれました。
この経験が、のちの ネクストレボリューション設立 へと確実につながっていくのです。