アパレルの世界へ足を踏み入れる
ディスコの黒服で「人を観察し、空気を読む力」と「度胸」を身につけた私は、その後、那覇のフェスティバルビルにあるアパレルブランド「PERSON’S」で働くことになりました。
華やかなファッションの世界は、夜のディスコとはまた違う緊張感と熱気に包まれていました。
そこで私は店長という大役を任され、接客だけでなく、売上管理やスタッフ教育、在庫管理までを担うことになったのです。
お客様を「観察」する力の応用
アパレル業界で最も大切なのは「お客様を理解すること」です。
ディスコで培った「人間観察の力」がここでも大いに役立ちました。
店に入ってきた瞬間の歩き方、目線、服装。
そのわずかな情報から「この人は普段どんな生活をしていて、今日はどんな気持ちで服を探しに来たのか」を想像します。
あるとき、年配の女性がふらっと来店しました。
普段はカジュアルな格好をしているように見えましたが、彼女の目は華やかなワンピースに留まっていました。
「来週、何か特別なご予定があるんですか?」と声をかけると、驚いたように微笑みながら「実は娘の結婚式でね」と答えてくれました。
その瞬間、私は最適なコーディネートを提案し、大きな信頼を得ることができたのです。
「商品を売る」のではなく「人の想いを汲み取る」
この視点が売上にも直結しました。
スタッフ育成とチーム作り
店長としての最大の課題は「スタッフ育成」でした。
個性豊かなスタッフたちをまとめ、同じ方向へと導くのは簡単ではありません。
それでも、私は一人ひとりの強みを活かすことを大事にしました。
接客が得意なスタッフには積極的にお客様対応を任せ、数字に強いスタッフには在庫管理や発注を担当してもらう。
「得意を伸ばす」ことで、自然とチームの士気が高まり、店舗全体の成果へとつながりました。
あるとき、売上が伸び悩んでいたスタッフに「君の接客は丁寧すぎて、逆にお客様が気を遣っているかもしれない」とフィードバックしました。
彼女は最初ショックを受けましたが、その後は明るいトーンで接客するようになり、みるみる成績が向上しました。
この経験から、人は正直なフィードバックと支えがあれば必ず成長できると学びました。
経営感覚の芽生え
店長として働くうちに、私は「接客」だけではなく「経営」にも目を向けるようになりました。
売上の数字、仕入れのタイミング、在庫の回転率。
これらを分析することで「なぜ売れるのか、なぜ売れないのか」が見えてきたのです。
特に大切だと感じたのは「流行を読む力」。
ファッションは時代の空気を反映します。
色やデザインの流行をいち早くキャッチし、店頭に並べることができれば売上は大きく伸びる。
逆に、流行から外れれば在庫の山となり、経営を圧迫します。
私は日々ファッション誌を読み込み、街を歩く人々を観察し、時代の空気を敏感に感じ取るよう努めました。
この姿勢はのちに、インターネットビジネスや営業戦略を考える際にも大きな力となりました。
責任と数字の重み
アパレルの現場で初めて、私は「数字の責任」を強烈に意識するようになりました。
ディスコの黒服は場を守る仕事であり、結果が数字に直結することはありませんでした。
しかし、店長としての毎日は「売上」という明確な数字に晒される日々でした。
売上が伸びれば誇らしく、下がれば自分の責任。
そのプレッシャーに押しつぶされそうになったこともありました。
それでも私は「この数字は、お客様に喜んでもらえた証だ」と信じて乗り越えてきました。
アパレル業界で得た経営感覚
この経験を通じて、私は大きな財産を得ました。
- 人の想いを汲み取る観察力
- 人材育成とチームマネジメントの方法
- 流行を読み取る感性
- 数字に責任を持つ経営感覚
これらはすべて、後に営業マンとして全国1位を獲得する力となり、さらに起業家として「ネクストレボリューション」を立ち上げる際の基盤となりました。
アパレル業界で学んだのは「服を売る技術」ではなく、
「人を喜ばせる力と、それを組織全体で実現する方法」だったのです。